読みながら何度も吹き出してしまい、夫に不審がられた。
失礼ながら、ひとつひとつのエピソードは本当にくだらない。けれどそんな出来事に対する朝井リョウ氏の観察眼やフレーズが冴えまくっていて、つい笑ってしまう。
特に驚きを表現するときや彼自身につっこむときの表現が最高。それまでの文章から1行空けて「違った!!」「煮え切らない!!」のようにそのときの心情が実によく伝わるモノローグを入れてくる。あと、
「…してもらってr」
「僕が代わりに授業出ますから」
のように、会話が分断されるときの英小文字は視覚的にも楽しい。
小説でも朝井氏の文章には惚れ惚れとしてしまうことが多いが、エッセイでは彼のダサさ(いい意味で)をより面白く伝えてくれる。
個人的に特にウケたのは『便意に司られる』『ダイエットドキュメンタリーを撮る』『黒タイツおじさんと遭遇する』。
有益とは言いがたいがどのエピソードも笑いを与えてくれる、おすすめの1冊。
志津図書館で借りたエッセイ『時をかけるゆとり』文藝春秋
朝井リョウ著 (2014/12/4)
文:ちゆき