2017年1月30日月曜日

時をかけるゆとり

読みながら何度も吹き出してしまい、夫に不審がられた。

失礼ながら、ひとつひとつのエピソードは本当にくだらない。けれどそんな出来事に対する朝井リョウ氏の観察眼やフレーズが冴えまくっていて、つい笑ってしまう。

特に驚きを表現するときや彼自身につっこむときの表現が最高。それまでの文章から1行空けて「違った!!」「煮え切らない!!」のようにそのときの心情が実によく伝わるモノローグを入れてくる。あと、

「…してもらってr」

「僕が代わりに授業出ますから」

のように、会話が分断されるときの英小文字は視覚的にも楽しい。

小説でも朝井氏の文章には惚れ惚れとしてしまうことが多いが、エッセイでは彼のダサさ(いい意味で)をより面白く伝えてくれる。

個人的に特にウケたのは『便意に司られる』『ダイエットドキュメンタリーを撮る』『黒タイツおじさんと遭遇する』。

有益とは言いがたいがどのエピソードも笑いを与えてくれる、おすすめの1冊。


志津図書館で借りたエッセイ『時をかけるゆとり』文藝春秋
朝井リョウ著 (2014/12/4)
文:ちゆき