2015年12月18日金曜日

北風と太陽

皆大好きイソップ寓話『北風と太陽』。私も証券会社に入ったばかりの頃、営業の心得として上司から聞かされた。

北風と太陽が言い争いを始めた。どちらも強いのは自分の方だと譲らない。
じゃあ勝負しよう。男のマントを引き剥がした方が勝ちね、と北風。でも全然上手くいかない。
今度は私の番だ、と太陽。
ギラギラと照りつける。これはたまらん、と長靴を脱いでも上着の袖を捲っても暑い。
ジリジリと背中を焦がす。男はもう我慢出来ない。木陰で一休みしようとマントを脱いで草の上に置いた。
「私の勝ちだね」と太陽は言った。
「ね、わかっただろう。人は力より、優しさに心を動かされるものなんだよ」

なんじゃこりゃ。優しさがどこにある。俺のが強いぞーって自己顕示欲のまま力技使って的外れな説教かよ。

もしポカポカと心地よい暖かさで男の服を脱がせ、「人の思いを理解するのも強さだよ」と勝ち負けなしに北風に微笑んだら、さすが太陽〜ってなったのにね。

志津図書館で借りた『きたかぜとたいよう』
絵バーナデット 訳もきかずこ
西村書店 ISBN4-89013-858-7